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足利市の大雨で被害724件 復旧作業にあたる坂西地区の市民の声を聞く

水没した足利市葉鹿町彦谷川付近(写真提供=足利市消防団第16分団、7月17日23時37分撮影)
葉鹿町彦谷川付近(7月20日10時撮影)

 足利市内で発生した7月17日夜から18日にかけての記録的大雨により、市内各所で被害が発生した。足利経済新聞では、特に被害の大きかった市内西部の坂西地区で市民の声を聞いた。

「葉鹿跨線橋北交差点」付近(写真提供=足利市消防団第16分団、7月18日0時46分撮影)
「葉鹿跨線橋北交差点」付近(7月20日11時20分撮影)

 同市発表の21日12時現在の被害状況は、死亡2人、救急搬送1人の人的被害のほか、住家被害が全壊1件、床上浸水80件、床下浸水80件、一部損壊62件の計223件。道路被害314件、住宅以外の建物被害40件、崖崩れ62件、車両被害20件など合わせて724件。宇都宮気象台によると、足利観測所において18日2時20分までの12時間に観測された総雨量は232.5ミリで観測史上最多となった。

泥が乾き、車が通るたびに砂ぼこりが舞う彦谷川沿いの道路(7月20日撮影)
彦谷川の支流合流地点、この辺りから越水したという(7月20日撮影)

 坂西地区の住民によると、17日夜に松田川や支流の彦谷川などで水があふれたという。低所に水が集中し、浸水は深いところで成人男性の胸の高さ、最大約1.5メートルに達した。店舗が多い「葉鹿跨線橋(こせんきょう)北交差点」付近では、20日現在でカレーハウスCoCo壱番屋 足利葉鹿店や文真堂書店 葉鹿店が臨時休業、足利西郵便局はATMが休止、足利小山信用金庫 葉鹿支店は18日から当面の間、ATMを含む臨時休業を発表した。

臨時休業した足利小山信用金庫葉鹿支店(7月20日撮影)
文真堂書店葉鹿店。駐車場には泥が残り、復旧作業が行われている(7月20日撮影)

 足利市消防団第16分団の阿部貴光分団長らは17日21時ごろに自主判断で出動し、21時30分ごろ、土のうを届けるために現地へ向かったが、既に膝の高さまで水が来ていたため浸水が始まった住宅にたどり着けず、安全上の判断で断念。車両誘導に切り替えたという。団員が2人1組で冠水箇所に立ち、これ以上車が侵入しないよう誘導した。最大13人が出動し、水が引き始めた18日1時30分まで活動を続けた。

彦谷川沿いの道路で浸水時の水位を示す消防分団長。もも付近まで水に漬かったという(7月20日撮影)
彦谷川沿いでトラックのタイヤに絡みついた流木や草(7月20日撮影)

 気象庁が関東地方の梅雨明けを発表した20日、栃木県商工会青年部連合会の約60人を含む約100人のボランティアが市内外から駆けつけ、浸水家屋で水にぬれた家財の運び出しや泥のかき出しなどに当たった。足利市坂西商工会青年部部長の瀬谷直人さんは「まちのため、仲間のために、協力してくれたことに感謝しか出てこない」と目を細める。

彦谷川から約70メートルの住宅地、塀に残る水の跡と、かき出された泥(7月20日撮影)
冠水し移動された車。奥は足利西郵便局(7月20日撮影)

 自宅が床上まで浸水し、車が水没した田中美雄さんは17日22時ごろ、誤作動した車の防犯ブザーで異変に気付いた。玄関を開けると既に車が水に漬かっていたという。「人手が足りない中、連休中ということもあって若い人たちが手伝いに来てくれた。この暑い中、本当にありがたい」と話す。

ブロック塀の上部まで泥と草が付着し、浸水の高さを物語る(7月20日撮影)
大雨当時、向かい側の畑に流されてしまったというパレット。建物の壁には浸水時の跡が残る(7月20日撮影、許可を得て撮影)

 彦谷川沿いに住む戸塚理王(りお)さんは「17日22時ごろには自宅の前の道路が増水し、スマートフォン画面に警報が表示された時にはもう道路に出られない状態だった」と振り返る。少しでも被害を抑えようと車を住居側へ後退させたという。「あっという間に水位が増した。自宅の前は坂になっているので道路が川のようになり、水が全部低い方へ流れていった」と話す。

足利西郵便局。建物に水の跡が残る(7月20日撮影)
足利西郵便局の外壁で浸水時の水位を示す消防分団長(7月20日撮影)

 大竹和美さんは「家族から家の排水口がボコボコと音がすると聞いて、玄関ドアを開けた時には、既に外へ出られなかった」という。避難はせず家財や食料を2階に上げ、家族交代で夜を明かした。「2階から外の様子を眺めていた時、消防団の人が声をかけてくれて少し安心した」と話す。自宅前の車はナンバープレートの上部まで浸水。庭にたまった泥のかき出しは3日目。「片付けの終わりが見えない。あとこれだけと思っても終わらない」と疲れた様子を見せた。

庭に流れ込んだ泥。乾いてひび割れている(7月20日撮影、許可を得て撮影)
大雨当日の17日22時30分にスマートフォンで撮影した写真を見せる大竹和美さん(7月20日撮影)

 「葉鹿跨線橋北交差点」近くに住む田島さ月さんは、夫の判断で高く盛った土地に家を建てたため、浸水は玄関ポーチの寸前で止まったが、自宅の前にあった車2台は水没した。「ここに住んで46年になるが、ここまで浸水したのは初めてのことで怖かった。大きな洪水とはこういうことなのかと思った」と振り返る。

重機が入り、道路の泥の撤去が進む「葉鹿跨線橋北」交差点付近(7月20日撮影)
「水は玄関ポーチのすぐ下まで来た」と指さす田島さ月さん(7月20日撮影、許可を得て撮影)

 松田川沿いに住む川岸正雄さんは17日21時ごろ、帰宅してテレビを見ようとしたところ、掘りごたつの足元にしみ込む水で異変に気付いた。畳が「船のように」浮き上がり、浸水の痕が室内の壁に残る。けがで治療中の妻を背負って階段まで運び、2階で一晩明かしたという。自宅の畳20畳は全て廃棄した。

川岸正雄さん宅の和室。壁の変色が浸水の高さを示す(7月20日撮影、許可を得て撮影)
川岸正雄さん宅の畳を上げた部屋の掘りごたつ(7月20日撮影、許可を得て撮影)

 石井真希さんは17日夜、外出先の市外で祖母から「家に水が入ってきた」と連絡を受けたが、自宅付近に到着した22時30分ごろには胸の高さまで増水しすぐに帰宅できなかった。築約3年の自宅は床上浸水し、車2台は廃車に。「電気と水道は使えるようになったが、給湯器が水没してお湯が出ない。元の生活に戻るには長い時間がかかる」と話していた。

ヘッドライト内部まで泥水が入り込んだ車(7月20日撮影、許可を得て撮影)
松田川と彦谷川の合流地点から約150メートルの住宅地。庭先や車には泥の跡が残る(7月20日撮影)
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