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足利の「いでいフルーツ」が閉店 地域に愛され46年

「いでいフルーツ」入り口の絵は妻の弘子さんによるもの

「いでいフルーツ」入り口の絵は妻の弘子さんによるもの

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 足利の青果店「いでいフルーツ」(足利市通3)が11月30日、46年の歴史に幕を閉じた。

入り口に貼られた閉店の貼り紙

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 店主の出井賢一さんは、スーパーマーケットで青果の仕入れ担当だった経験を生かし1975(昭和50)年に独立。以来46年の間、自宅のある佐野市田沼町から片道35分かけて通い、店を営業してきた。店が面する県道67号桐生岩舟線(旧国道50号)は、創業当時は休日に多くの人でにぎわう繁華街だった。同店向かいにあった百貨店や近隣の店が閉店していく中、市街地商店街の移り変わりを長年見守ってきた。

 1999(平成11)年、近隣に野菜を買える店が無くなったことから、毎週金曜に「青物市」の開催を始めた。果物、野菜にとどまらず、妻の弘子さんが季節の野菜を使った総菜を作って販売した。百貨店跡にスーパーマーケットができてからも客足は変わらず、総菜や野菜を求める多くの地元客でにぎわった。

 同店は贈答用果物の販売が主だったため、新型コロナの影響で客足が遠のいた。賢一さん自身が高齢になったこともあり、閉店を決めたという。30日は常連客や、閉店の知らせを聞き初めて訪れる客が次々と店に立ち寄る姿が見られ、弘子さんが来店客一人一人に緑茶や茶菓子を振る舞った。

 古くからの付き合いが高じて「青物市」の日は手伝うようになったという葉鹿町の富永三知男さんは「閉店を知った時は驚いた。寂しいが夫婦70歳過ぎて、ここで線引きに至ったのだろう」と思いやる。

 出井さん夫婦は、店の片付けを終えたら、これまでも自宅敷地で栽培してきたサヤエンドウやインゲンなどを市場に卸し、今後は農業に専念するという。賢一さんは「これからは、(これまで)店にいてできなかった畑の草取りと、畑を荒らす鹿やイノシシとの戦い」と笑顔で話す。

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