天ぷら専門店「天婦羅 まつむら」(足利市有楽町)が9月で創業50周年を迎えた。
同店は1970(昭和45)年、先代の松村文雄さんが「割烹まつむら」として伊勢町で創業。現在の店主で2代目の文寛さんは高校卒業後、「御座敷天ぷら 天孝」(東京都新宿区)で修業した。その後、地元の足利に戻り自宅を改装し、現在の場所に店を構えた。以来25年間、天ぷら専門店として営業し、現在は妻の由香理さんと二人三脚で店を営む。
天ぷら専門店は足利に多くないなか、松村さんは「天ぷらは、どんな食材でも揚げようと思えば揚げられるからこそ、『何でも揚げてしまわないこと』にこだわることで、おいしいもの、足利できちんとした天ぷら料理を提供したい。『おいしいものを田舎に食べに行く』という時代になれば」と話す。
松村さんが最も意識するのは料理の「香り」。料理によって、より「香り」を感じられる温度は違ってくるため、食材などによって一つ一つ衣を変え、揚げ油は1組ごとに交換する。季節が変わっても毎日提供する料理の質を一定にするため、食材の管理や仕込みを日々の感覚と培った経験で変化させていく。料理を集中して味わってもらうために、グラスや器一つにまで気を使うという。
店内にはカウンター6席のほか個室1室があり、完全予約制。足利近郊から訪れる客が多いというが、全国各地、海外からの来訪もある。松村さんは「記念日などに選んで店に来てくれる人がいることはうれしい。天ぷらが食べたければ、ぜひお越しいただければ」と話す。
営業時間は17時30分~22時。日曜定休。完全予約制。