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足利で子どもたちの登下校見守る清水さん 愛犬をきっかけに10年

子どもたちを笑顔で送り出す清水元さん

子どもたちを笑顔で送り出す清水元さん

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 足利市上渋垂町在住の清水元さんと都さん夫婦が、御厨小学校(足利市福居町)学区内にある自宅前で子どもたちの登下校を見守るようになって10年を迎えた。

清水さんの相棒「ター君」(写真提供=清水さん)

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 元さん、都さんは足利市出身。2013(平成25)年4月から、自宅前で登下校する子どもたちを笑顔で見守る。見守りのきっかけは、清水さん夫妻の愛犬「ター君」の存在だったという。入学生の保護者が、「清水さん宅の犬がほえるので怖くて通れない」と相談してきたため、いったんター君の居場所を移動したが効果は見られなかった。清水さんは「子どもたちと関わるようにした方が、慣れてほえなくなるかもしれない」と考え、ター君と一緒に毎朝子どもたちの登校を見守るようになった。最初はおびえていたター君も、子どもたちと触れ合う中で徐々に慣れ、ほえなくなっただけでなく、毎日児童たちの登校を待つようになり、一躍人気者となった。

 清水さん宅の前の道は狭く、見通しも悪いため、自動車の往来時、清水さん宅の駐車場が子どもたちの一時待避場所になっている。時間を惜しんで早口でおしゃべりする児童、清水さんが用意した計算問題に取り組む児童、会釈だけして足早に通り過ぎる中学生など、小学生だけでなく、中学生や高校生も清水さん夫妻の「行ってらっしゃい」「お帰り」に見守られて登下校する。

 見守りを始めた当初は、登校時だけ自宅前に出ていた清水さん夫妻だったが、下校時にもあいさつしに寄ったり、ター君に会いに来たりする子どもがいたため、程なくして下校時も子どもたちを見守るようになったという。ター君が2021年4月に15歳で天国に旅立つと、大人から子どもまで、多くのター君ファンから手紙や花束が届いた。清水さん夫妻は今でも「ター君ちのおじちゃん」「ター君ちのおばちゃん」と呼ばれている。

 子どもたちからの希望で5年前からは、自宅の門に計算問題を貼るようになった。元さんは「毎晩夕食後に問題を作るのが日課。孫にもらった小学校の教科書を使って問題を作っている。忘れてしまうこともあるが、楽しみにしてくれている子どもたちがいるので楽しみながら続けている」と話す。入学式や卒業式には特別なメッセージを掲示している。卒業や転校する児童から感謝の手紙が届くこともあり、それらは全て大事に取ってあるという。

 都さんは「子どもたちの元気な姿を見るのが楽しみ。子どもたちを見守る中で、防犯対策として大きな声で名前を呼ばないことや、ポジティブな言葉で送り出すことを心がけている」と話す。元さんは「ター君がきっかけで始めた見守り。続けられたのはター君がいたから。やめようと思ったことは一度もない。元気なうちはずっと続けたい。やるなと言われないうちはずっとやるつもり」と笑顔を見せる。

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