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「きぼう」ロボットプログラミング競技会で世界3位に 三木晴太さん(東京工業大学)に聞く

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(写真中央が三木さん)

 足利出身の三木晴太さんチームリーダーを務める東京工業大学(東京都目黒区)の学生チーム「Space Lark」が、10月29日に行われた第3回「きぼう」ロボットプログラミング競技会の軌道上決勝大会に出場し、世界3位となった。

 同競技会は「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」(東京都調布市)が主催するプログラミングコンテスト。今大会は過去最多の12か国351チームが参加した。7月に開催された日本国内予選会には21チームが参加。決勝大会は10チームが参加し、地球を周回する国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」船内でNASAの船内ドローン「アストロビー」の実機を用いた環境で、各チームの技術力を競った。

 チームのメンバーは東京工業大学工学院機械系修士課程1年の三木さんと、石井泰大さん、大坪恵人さん、西尾陸さん、安田萌恵さんの5人。

「宇宙兄弟」が宇宙への扉を開いてくれた

――三木さん、世界3位、おめでとうございます。

ありがとうございます。予選ではプログラムが思った通りに動いてくれました。決勝では、予想外の事態が発生しても対処できるようなプログラムへと変更したことが功を奏しました。でも、正直なところは悔しい。予選大会に出場した351チームの中では最高得点だったので、いけるんじゃないかと期待していました。

――三木さんは小さいころからずっと宇宙に興味があったのですか

小さい頃からずっとサッカー少年でした。小学生の時は織姫公民会で開催されていた囲碁教室に通うのが楽しみの一つでした。論理的思考力は、ここで培われたと思います。宇宙に興味を持つきっかけとなったのは、高校2年の時に父に薦められて読んだ漫画「宇宙兄弟」(講談社)です。サッカー選手を支える職業に興味があったのですが、宇宙に関わる職業に興味を持つきっかけになりました。

――宇宙に関わる学問を志したのは、きっかけがあったのですか

高校3年の時にJAXAが主催する「種子島宇宙センタースペーススクール」に参加したことです。ここで射場(ロケットを打ち上げる施設)を見学し、小型ロケットを製作し、未来の射場を考え、リアルな宇宙に触れたことで、「いつか自分も宇宙に関わる仕事をしたい」と考えるようになりました。やりたいことが明確になったことが、原動力になったと思います。やりたいことを見つけられないまま大学に進学する人も少なくない中で、やりたいことを見つけられた自分はラッキーだと思います。

今この瞬間も宇宙を飛んでいる

――大学ではどんなことを専門に勉強しているのですか

工学院機械系修士課程1年で、人工衛星にまつわる研究室に所属しています。2021年11月に先輩たちから引き継いだ人工衛星を打ち上げました。自分の関わった人工衛星が今この瞬間も、宇宙に飛んでいると思うとわくわくします。現在は、来年度打ち上げ予定の人工衛星を製作しています。

――今後の展望は?

今回のプロジェクトを通していろいろな方に知り合え、貴重な話を聞くことができたのが貴重な経験になりました。リーダーを経験したことも大きな経験値になり、手を動かす仕事だけでなく、視座が高いポジションの仕事もありなんじゃないかなと考えるようになりました。卒業後は、人工衛星を製作する企業に行き、エンジニアとして日本の宇宙業界の発展に貢献したいと考えています。

母・素子さんへインタビュー

――プログラミング大会の様子や、首相官邸から若田宇宙飛行士にインタビューしている様子がユーチューブで配信されていました。ご覧になっていかがでしたか

晴太の得意分野、好きなことで実績が得られほんとうにうれしく、共に活動されてる方々に感謝の気持ちです。

――晴太さんは、小学校に入る前はどんなお子さんでしたか

幼いときから裸足でよく外遊びをしていました。高いところによじ登ったり、水たまりで泳いだり…毎日泥だらけでした。好きなことはとことんやるタイプで、絵本や図鑑を端から端まで読んでいました。特に電車、恐竜が好きでした。赤ちゃんのときからたくさんの絵本を読み聞かせたのが、本好きにつながったと思います。我が家は、子どもでも一人の人として尊重し、どう考えるか、どうしたいのかを聞いて相談する方針。アドラーとモンテッソーリを基本にした教育方針と広大な自然環境の小俣幼児生活団(足利市小俣町)は息子にはぴったりで、とても良かったと思います。

――小学・中学の頃はどんなお子さんでしたか

構築的に粘り強く考える力は、市内のシニア主催の囲碁クラブで身についたと思います。クラブのおじいちゃんたちに、ラーメンをご馳走になったり、自宅で指導していただいたりするなど、我が家は核家族ですが高齢の方々との温かい関わりを頂きました。スポーツも大好きで、「栃木県サッカー協会」の県トレセンメンバーに選ばれ合宿に参加したことも。中学・高校は陸上部で長距離選手として、かなりハードな練習の中で体力と精神力が養われたほか、勉強との両立のため、効率よく時間を使うことや集中力がついたと思います

――これからの活躍も楽しみですね

今、大学の研究室では人工衛星の製作に取り組んでおり、寝食を忘れるほどのハードな日々のようです。体を大切にして、これからも生き生きと活躍し世に貢献できるように願っています。

■参考リンク
第3回「きぼう」ロボットプログラミング競技会 軌道上決勝大会の結果報告(JAXA公式サイト)
https://humans-in-space.jaxa.jp/biz-lab/news/detail/002698.html

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