「共生」をテーマにしたドキュメンタリー映画「精神0(ゼロ)」の上映会が8月30日、「ユナイテッド・シネマ アシコタウンあしかが(足利市大月町)」で行われた。
足利出身の想田和弘監督による「観察映画」の第9弾となる作品。岡山市の精神科診療所に密着し、数々の国際映画祭で高い評価を得たドキュメンタリー映画「精神」(2008年)の続編に当たる。突然の引退を決めた精神科医師の山本昌知さんと、認知症を患う妻の芳子さんの生活に密着した。5月2日に全国公開予定だったが、緊急事態宣言の影響を受け、インターネット上で期間限定となる「仮設の映画館」の作品の一つとして公開していた。
地元有志による「映画『精神0』を観る会」が主催し、映画の上映会とトークイベントを開催。同会代表の秋田清さんは、想田監督が地元に帰っているとの情報から、「コロナの影響で花火大会など多くのイベントができなくなったが、市民を元気づける『映画の花火』ができたらと考えた」と話す。6月19日に営業を再開した同会場にとっても、再開後初のイベントとなった。
間隔を空けて設けられた席はほぼ満席で、2回の上映会で約400人が鑑賞に訪れた。鑑賞後には足利地域おこし協力隊の木村沙和さんの進行により、監督の想田さん、想田さんの妻でプロデューサーの柏木規与子さんのトークイベントが行われた。想田監督が暮らすニューヨークの様子や、観察映画の撮影について、撮影時の2人のエピソードなどに参加者は耳を傾けた。
映画上映後、秋田さんは「人生で受け取ることと、また、それを返す『生き方』のようなものを個人的には感じた。コロナの影響で、人のつながりやコミュニケーションが閉ざされた今だからこそ、見に来た方それぞれが作品から何かを感じ取れるのでは」と感想を話した。