
企画展「山姥切(やまんばぎり)国広展 -名匠の軌跡、名刀の誕生-」が2月8日から、足利市立美術館(足利市通2、TEL 0284-43-3131)で開かれている。
(左から)徳川義崇徳川美術館館長、早川尚秀足利市長、ニトロプラス小坂崇氣社長
山姥切国広は、足利長尾氏の6代目当主長尾顕長(あきなが)が1590年に刀工・堀川国広に作らせたもので、1962(昭和37)年に国の重要文化財に指定された。2024年3月、匿名の個人が所有していたものを足利市民文化財団が専門家の評価を基に3億円で取得した。
購入金額3億円のうち2億円は同財団の資産から捻出し、残り1億円はふるさと納税やクラウドファンディングを活用した「山姥切国広縷縷(るる)プロジェクト」を通して調達。最終的に目標額を超える約1億7,000万円が集まった。
今回の企画展は取得後初となる特別展。徳川美術館(名古屋市)が所蔵し、同刀の写しの元とされる国の重要文化財「本作長義(ほんさくながよし)」を同時展示する。2つの刀がそろうのは、1997(平成9)年に東京国立博物館(東京都台東区)で開催された「日本のかたな」展以来、28年ぶり。足利市にそろうのは、堀川国広が作刀して以来435年ぶりという。そのほか国広ゆかりの刀剣や足利長尾氏の資料を展示し、国広の足跡や名刀誕生の背景を紹介する。
一般公開に先立ち7日に行われたオープニングセレモニーは、早川尚秀足利市長、尾張徳川家第22代当主の徳川義崇徳川美術館館長、刀剣を題材にしたオンラインゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を製作しているニトロプラスの小坂崇氣社長らのほか、クラウドファンディングで「縷縷プロジェクト共同オーナー」の権利を得た77人が参加した。
徳川館長は「この企画展が決まった時、山姥切国広と本作長義を手に取って鑑賞する機会があった。本物そっくりに作るのが写しだが、堀川国広が刀工のプライドとして本作長義を超えるものを作ろうとした思いを感じた。この機会に2振りの刀を鑑賞してほしい」とあいさつした。
開催時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。入館料は、一般=1,500円、高校・大学生=1,000円、中学生以下無料。観覧はウェブサイトで事前予約が必要。3月23日まで。