ワークショップ「幼児とびじゅつかん」が12月7日、足利市立美術館(足利市通2)で開かれた。
足利チャイルドあーとくらぶが主催。講師に武蔵野美術大学芸術文化学部の杉浦幸子教授、米徳信一教授を招き、幼児期からアートに親しむメリットや、幼児とアートとのより深い関わり方を学ぶもので、幼児の美術鑑賞に関心を持つ大人を対象に行われた。
始めに多目的ホールで、杉浦さんがこれまで関わったプロジェクトや活動、日本の美術館と海外の美術館の子どもに対する考え方の違いなどについて、スライドを使ってレクチャーした。
その後展示室に移動し、開催中の企画展「安野光雅展 絵本とデザインの仕事」を見ながら鑑賞ワークショップを行った。子どもと美術館を訪れたときの、子どもの気持ちに寄り添った鑑賞の仕方、美術館でのマナーを上手に伝える方法、子どもの質問への対応の仕方などを具体的な事例と共に学んだ。子どもを伴い鑑賞に行く際の心配や困り事などの質問にも具体的にアドバイスがあり、参加者たちは時折メモを取りながら熱心に聞き入っていた。仕事で子どもとアートに関わる市内在住の女性は「実際に子どもを尊重しつつスムーズに鑑賞するための導き方などがとても具体的で、杉浦さんと一緒に鑑賞した子どもたちは楽しいだろうなと思った。短い時間ながらとても充実した内容だった」と話す。
杉浦さんは、幼少時に大好きだった絵本「かぐやひめ」の挿絵に大人になって偶然出合い、その鮮烈な体験が自身の活動のルーツになったという。「幼児期にアートに触れたことが何らかの刺激として残り、後の人生を豊かにする」と話し、気楽に子どもとのコミュニケーションにアートを用いるよう呼び掛けた。