「ふたりのばあばの墨とパステル展」が12月8日、サロン「久叡館(きゅうえいかん)」(足利市田中町)で始まった。
「ふたりのばあば」は親戚関係にある冨福圭子さんと田部井佳子さんの2人で、家族の存在が垣間見える作品も含まれる。冨福さんの書12点と田部井さんが6年ほど前から取り組むパステル画16点を、1階のサロンと2階に展示する。田部井さんは60歳を過ぎてから版画の創作活動を始め、70歳、77歳の時に企画展を開いており、「80歳でパステル画の展示を行うのが夢だった」と話す。同展は2人の作品を併せて展示する形で実現。開催2日目の9日も、絶え間なく訪れる来場者と作品にまつわるエピソードなどを話す場面が見られた。
同館は田部井さんの自宅でもある。田部井さん夫婦は美術作品のコレクターとしても知られ、足利ゆかりの美術家の作品をほぼ網羅している。4月13日~6月2日に開催された「足利アートクロス」の展示の一つ「久叡館コレクション展」は足利市立美術館特別展示室などで行われた。田部井さん夫婦は同館で毎年音楽会を開くほか、展覧会としてコレクションの中からテーマを選んで作品を展示する活動を続けている。
田部井さんは「80歳の記念に企画展ができて、とても幸せ。この場所があるからこそ実現できた。パステルはこれから先、取り組むものとして選んだ。難しいが、6年続けてきてようやく分かってきた感じがする。具象を描くのではなく、感動したものをそのまま、自分らしいイメージで描き続けたい。その表現の手段としてパステルで描いている」と話す。
開館時間は10時30分~16時30分。入館無料。12月15日まで。