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足利市立美術館でザ・キャビンカンパニー個展 空間を大きな本に見立て

展示室いっぱいに並ぶ立体作品

展示室いっぱいに並ぶ立体作品

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 「ザ・キャビンカンパニー 大絵本美術展 童堂(どうどう)賛歌」が9月14日、足利市立美術館(足利市通2)で始まった。

壁面に40冊の絵本の原画が並ぶ

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 ザ・キャビンカンパニーは、大分県出身の阿部健太朗さんと吉岡紗希さんの2人組の絵本作家・アーティスト。2009(平成21)年、大学時代に結成し、現在、大分県由布市の廃校をアトリエに制作活動を続けている。第29回「日本絵本賞」大賞、第73回「小学館児童出版文化賞」を受賞した「ゆうやけにとけていく」(小学館)など40冊の絵本のほか、絵画や立体作品、アニメーションなど、さまざまな表現方法で制作を行っている。

 同展は、結成15年の集大成となる巡回展。絵画や絵本の原画、映像作品、立体作品、インスタレーションなどで、活動の初期から現在までを振り返る。美術館を7つの「部屋」に見立て、空間ごとに異なるテーマを掲げた。初期の作品、企業や公共団体、アーティストらとのコラボレーション制作、来場者が自分の影を通じて展示の世界の一部になれる映像作品など、スペースを分けて展示する。絵本の原画は、300点余りを壁面に並べ、実際に絵本を手に取れるコーナーも設けた。

 一つの「部屋」では、絵本のキャラクターや植物、生き物、建物などの造形を、床から天井まで空間を駆使して展示し、2人の世界観を映し出す巨大なインスタレーションとなっている。展示の最後には、同展のために制作した新作で、14メートルに及ぶロールスクリーンに描かれた「童堂賛歌」を壁面いっぱいに展示。併せて同展のために作った詩絵本「童堂賛歌」の原画を並べ、過去から現在までの作品を通じて、これまでの創作の歩み、根底にある制作への「思い」を紹介する。

 開催初日にはオープニングイベントがあり、2人が絵本「しんごうきピコリ」「ミライチョコレート」など4冊の読み聞かせを行った。作品や展示に関するエピソードトークや質問コーナーも設け、絵本を手に来館した親子連れなど80人がイベントを楽しんだ。

 同館の学芸員、篠原誠司さんは「表現の幅が本当に広く、無限に作品を生み出していく力が魅力。普段はなかなか見ることができない立体作品などに触れることで、絵本との関係性や、表現の多彩さを感じてもらえれば」と来館を呼びかける。

 開催時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料は、一般=710円、高校・大学生=500円、中学生以下無料。11月4日まで。

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