企画展「THE ART OF 北の郷(きたのさと)物語」が9月9日、足利市民活動センター(足利市相生町、TEL 0284-44-7311)で始まった。
同展は「北の郷物語」を柱に、挿絵を中心としたビジュアルにスポットを当てる企画展。同書の挿絵のほか、挿絵付きの観光マップや民話すごろく、パンフレットなど資料約100点を展示する。「北の郷さくらと社寺めぐり」「裏・足利魔界紀行」などのマップは原案となったラフスケッチと合わせて展示し、制作過程を可視化。無償素材として提供した挿絵やコンセプトが地域ブランドに採用され商品化された事例も紹介する。地元ケーブルテレビで放映中の「北の郷物語」の録画も上映する
「北の郷物語」は、同市北郷地域にまつわる1話当たり220文字の民話や言い伝え、怪談などにイラストを添え、54話を収録した書籍。A5判。岩花文庫(月谷町)が発行している。初版は2002(平成14)年に発行。昨年7月には10年ぶりに第4集を発行した。
同書は、旅館巖華園(がんかえん、月谷町)を経営する民俗研究家の中島太郎さんが執筆。地域の民俗史を後世に残すとともに足利市北部のふるさとおこしにつなげようと、20年以上にわたり同書に取り組んできた中島さんは、文章で表しきれない内容を挿絵が補うことができるのではと、挿絵や表紙デザインも自ら手がける。イラストは、繊細な物も版画様の物も下書きは行わず、ボールペンとフェルトペンで描いているという。
中島さんは「さまざまな企画に関わってきたが、自分だけの作品を展示するのは初めて。これまでの歩みを見てもらうとともに、民俗の世界にアートワークの視点から関心を持ってもらえたら」と話す。
入場無料。開催時間は10時~19時(9月14日~17日は休館。最終日は12時ごろまで)。9月19日まで。13日には、中島さんを案内人にして同書を題材に「まちの縁側(読書サロン)」(定員25人・無料・要申し込み)を開く。