栃木県佐野市と近郊の街で「ローカルリビングツアー」を開始
日本を訪れるインバウンド観光客の数は増加を続け、2023年は実績で2,507万人、2024年には3,477万人と予想され、2019年の3,188万人を超える見込みです。しかし、その8割以上は東京、大阪、京都などの有名観光地に集中しており、これが「オーバーツーリズム」という大きな問題を引き起こしています。一方で、それ以外の地方にはインバウンド観光客があまり訪れておらず、誘客に苦戦しているのが現状です。(注1) しかしながら、初めて日本を訪れる観光客も、何度も日本に足を運ぶリピーターも、混雑した有名スポットを巡るだけではなく、「自然や風景の見物」など地方のユニークな魅力を求める旅に注目している、という調査結果も得られています。(注2)
栃木県の観光地といえば日光東照宮や中禅寺湖などがある日光が有名ですが、栃木県南部は東京から日光の中間に位置するために単なる通過点に過ぎず、インバウンド観光客からあまり注目されていませんでした。そこで、「ローカルリビングツアー」(代表:竹田祐子)は、栃木県南部、特に佐野市とその近郊のローカルな魅力を新たな視点から紹介し、インバウンド観光客を呼び込むツアー事業を2024年8月から開始しました。
ローカルリビングツアー公式サイト https://www.locallivingtour.jp/
ローカルリビングツアーの特徴
観光地化されていない静かな街並みを巡るこのツアーでは、ガイドが駅でお迎えし、地元の人々しか訪れない場所で、カスタマイズされたアットホームなツアーを、交流を楽しみながら体験していただけます。
何気ないローカルな風景、日本の職人技、地元の食文化などを体験していただき、インバウンド観光が一過性のブームで終わらないよう、持続可能な観光ルートの構築を目指します。また、これから海外市場へ進出を考えている地方のアーティストや中小企業(伝統工芸、農産物・飲食品、サービス業など)のモニターの場としても活用できる計画も進めています。
ツアー例
・佐野らーめん道場:日本国内で人気・知名度の高い佐野らーめん。市内にらーめん店が200軒もあるらーめんの聖地で、ラーメン作りを体験。青竹で麺を打ち独特のちぢれ麺をる作る2時間クラスから、スープからトッピングに至るラーメン製作全般に加えて歴史などを学ぶ1日間クラス、さらには自国でラーメン店を開きたい方への3日間集中マスタークラスなど。
・酒蔵、酒テースティングと演芸:10種類ほどのお酒を楽しみながら、地元の和楽器奏者や舞踏家の演芸を鑑賞、体験するプラン。
・お料理教室:地元の食材をふんだんに使ったお料理を、地元のカフェで学ぶクラス。可愛いお弁当作り、美しい和菓子作り、食材選びにマーケットや畑を訪問するプランもあり。
・茶道・お寺体験:佐野市の伝統工芸品である「天明鋳物」の茶釜でたてたお抹茶を、美しいお寺の庭を眺めながらいただき、住職の法話、Q&Aセッション、座禅をして瞑想を体験するプラン。ヨガや華道などを入れたプランもあり。
・日程:都内からの日帰りをはじめ、1~2泊も対応。
ローカルリビングツアーについて
ローカルリビングツアーは、栃木県佐野市を中心とした栃木県南部地域のインバウンド観光を推進するために、2024年から事業を開始しました。代表の竹田祐子は、アメリカで34年間過ごし、日米間のリエゾン業務に長年従事してきた経験と、帰国後はZESDAの一員としてグローカルビジネスの活動をした知見を活かし、現在は佐野市観光協会に在籍して、当事業の企画・運営を行っています。
グローカルビジネス(地方企業の海外進出)をプロデュースするNPO法人ZESDAは、栃木県佐野市で生産される佐野藍の海外展開支援をはじめとした「佐野プロジェクト」を実施しており、この一環でローカルリビングツアーをサポートしています。
(注1) みずほリサーチ&テクノロジーズ「2024年のインバウンド見通し」(2024年6月18日)
https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/research/express/2024/express-jp240618.html
(注2) 日本政策投資銀行 日本交通公社 「アジア・欧州豪 訪日外国人旅行者の意向調査2023年度版」(2023年10月)https://www.dbj.jp/topics/investigate/2023/html/20231012_204523.html