足利の食品スーパー「イケモリストアー」(足利市朝倉町)が、8月31日の営業を最後に閉店する。
寄贈された写真パネルを持つ「イケモリストアー」社長の池森康行さん
同店は現社長の池森康行さんの母、故アヤ子さんが青果店として開業し、1963(昭和38)年12月にイケモリストアーとしてオープンした。高度経済成長期の市内における地域住民の食卓を支える存在となったが、大手の食品スーパーが進出し客足は減少。康行さんはコロナ禍の前から閉店を考え始め、最低賃金の上昇や物価の高騰を受け、閉店することを決めた。
康行さんは「昔はうちのような小さい店舗へ近所の人が自転車で来て買い物をすることが多かったが、今は車で大型の店舗へ行く人が多い。商品が豊富で安く販売する大きい店舗がどちらの方向にもある。ここが買い物しやすい、ここが好きだと言ってくれる人もいるが、応え切れなくなり残念」と話す。
ドラマや映画のロケ地として使われたこともあり、藤山直美さん主演映画「団地」や、山田孝之さん主演ドラマ「REPLAY&DESTROY」など人気作品にも登場することから「聖地巡礼」として同店を訪れる人もいるという。
手作りのおかずや、大手スーパーチェーンにはないアットホームな雰囲気にはファンも多く、閉店を惜しむ声が多く寄せられる。店内にはファンからの手紙や、寄贈された写真パネルが設置され、店舗外では記念撮影をする人の姿も見られた。太田市在住の古川康代さんは「ここの豚肉のファンでよく使っていた。若い頃は物足りない感じがしていたが、親になってからはこの規模感がちょうど良く、亡くなった祖母もお出かけといえば『イケモリ』だった。地域のお年寄りには、身近で使いやすい店舗だったと思う」と閉店を惜しむ。
康行さんは閉店後、落ち着いたらボランティアなど人の役に立つことをして過ごしたいという。「でも、しばらくは商品券の返金だったり、手続きだったりで、やることはいっぱいあります」と笑う。
営業時間は9時15分~17時30分。日曜定休。