足利のギャラリーカフェ「artspace & cafe」(足利市通2、TEL 0284-82-9172)で現在、企画展「-写真で振り返る- 大岡信ことば館」が開催されている。
「大岡信ことば館」は静岡県三島市にあった美術館。2009(平成21)年に開館し、2017(平成29)年まで8年間運営された。詩人で評論家だった故大岡信さんの400点超の美術コレクションを所蔵するほか、大岡さんの詩を中心とした「言葉」に関する企画展など、30回を超える展示を行った。
同ギャラリーカフェの代表岩本圭司さんは、アーティスト・造形家でもあり、これまで数々の舞台美術や展示デザインに関わった経歴を持つ。同館には開館の企画段階から関わり、2011(平成23)年から閉館までの6年間館長を務めた。同展では、岩本さんが残した記録写真を展示し、同館の展示の軌跡を振り返る。より強く言葉の要素が感じられる写真を中心に選び、8月27日までを前期、8月30日~9月10日を後期として展示を入れ替え、計40点超を展示する。おおむね同館の企画展の歴史順に並べ、併せて大岡さんの詩も紹介する。
岩本さんは当時を振り返り、通常、詩人や文学の展示は資料や記録を中心とした「静的」なものとなるが、同館では20平方メートル角のスペースを生かし、言葉を空間に造形化して展示。あえて通路を設けず来館者らが言葉の中に身を置くことで、言葉を体感してもらえるようにしたという。布に言葉を印字し上からつり下げるような展示や、言葉を造形化し、床から積み上がるように、壁から出てくるようにした立体的な展示、明かりや音を組み合わせる展示もあった。
岩本さんは「大岡信さんという人物について改めて知ってもらうとともに、10年も前から言葉を造形的に展示する取り組みが行われていたことに触れてもらえれば」と来場を呼びかける。
開催時間は11時~18時(最終日は16時まで)。月曜・火曜定休。入館無料。9月10日まで。