企画展「川島理一郎展 自然から得た生命の律動」が10月29日、足利市立美術館(足利市通2)で始まった。
今年は足利市出身の洋画家・川島理一郎(1886-1971)の没後50年に当たる。同館では20年ぶりとなる今回の企画展は、絵画を中心に、交流のあった国内外の芸術家らの作品と合わせて約130点を展示し、60年の画業を回顧する。作品を制作年順に展示することで、時を経るに従って表れる画風の変化に着目し、抽象画へと移行していく晩年までの画業を検証する。大林組(東京都港区)や個人所有者の協力を得て作品を集め、初公開となるものも少なくないという。
同館によると、川島さんは1905年、父親が暮らす米国で美術を学んだ。1911年、パリに渡り、1913年には日本人として初めてサロン・ドートンヌに入賞するなどの実績を重ね、芸術家らと交流しながら、自身のスタイルを確立していったという。欧州やアジア諸国、日本国内を旅して自然の美しさ、建造物などの人工的な美しさを描く傍ら、化粧品メーカーの資生堂意匠部嘱託員として、パリの最新モードを伝えるなど、国内に文化を伝える役割も担った。
足利ゆかりの作品として、1936(昭和11)年の市政15周年に川島さんが寄贈した「承徳大観」、1966(昭和41)年9月に開館し、昨年6月に建物解体のため55年の歴史を終えた足利市民会館(有楽町)の緞帳(どんちょう)のデザインの基となった「布をふる女」と「織姫の舞」を展示する。
同館学芸員の山下彩華さんは「どの作品からも一貫して『洞察力』を感じる。時代の流れを読み、自分のものとして吸収しながら、抽象画へと画風を変化させていったことが読み取れる。多くの芸術家とも交流し、与えた影響も大きい。足利からこのような画家が生まれたのだということを展示から感じてほしい」と話す。
開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜、11月4日、24日休館。観覧料は、一般=710円、高校・大学生=500円、中学生以下無料。12月25日まで。