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足利市立美術館で「飯田善國展」 初期の絵画から晩年の制作までを回顧

木で「人間」を抽象的に表現した彫刻「HITO」などの立体作品が並ぶ

木で「人間」を抽象的に表現した彫刻「HITO」などの立体作品が並ぶ

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 飯田善國展「色は光、光はことば」が11月16日、足利市立美術館(足利市通2)で始まった。

ステンレスを用いた「ミラーモビール」関連作品と屋外モニュメント写真

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 飯田善國さん(1923~2006年)は足利市出身の彫刻家で現代美術家。文字と色を組み合わせて表現した版画シリーズ「うしなわれないことば」やステンレスに着色ロープを組み合わせた彫刻、屋外で稼働するモニュメントなど、独自の表現に挑戦し、多岐にわたる作品を手がけたという。

 同展は、飯田さんの生誕100年を記念し昨年から行われるプロジェクト「IIDA 101」の一環。制作の原点となる初期の絵画に始まり、版画、コラージュ、ドローイング、木材やステンレスを素材としたりステンレスと着色ロープを組み合わせたりした彫刻、屋外モニュメントの写真パネルと関連する立体作品など、飯田さんが制作した多岐にわたる作品や資料を展示する。展示は制作時期やカテゴリーごとに分け、多彩な表現方法に着目しながら、飯田作品の初期から晩年を回顧する。

 同美術館によると、飯田さんは幼い頃、両親との別れを経験したことで本質的な孤独感を持ったという。20歳で戦争に駆り出された体験では内面的に深い傷を負った。飯田さんの心情を救ったのが「芸術」であり、「ことば」や詩だったとも。同展では、多様な絵画や立体作品と同時に、飯田さんが残した詩稿や手帳など「ことば」にまつわる資料を展示し、作品の一部に関連する詩を添える。生涯を通じた制作の根底に流れる「詩的な心情」や「ことば」を主軸に据え、どのように作品が生まれ、展開されたかの解明を試みる。

 同館学芸員の江尻潔さんは「素晴らしい作品の背景には目に見えない詩的な趣きがあるといわれる。作品に添えられた言葉や詩を静かに味わってもらうことで、飯田さんの多彩な制作の底に流れる言葉の存在に触れ、作品を理解するきっかけにしてもらえれば」と来場を呼びかける。

 12月26日まで。

 同美術館の開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=710円、高校・大学生=500円、中学生以下無料。

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