足利の金属加工業スティーラーズ(足利市小俣南町、TEL 0284-55-5731)の防犯用品「サスマタ タックルPlus」が10月7日、2022年度グッドデザイン賞を受賞した。
同社社長の齋藤彰男さんは足利市出身。業務用の防犯用品や医療施設の金属用品などを製造する。製品開発のきっかけは、2001(平成13)年の「附属(ふぞく)池田小事件」をニュースで見たこと。当時、事件の被害にあった子どもたちと齋藤さんの子どもが同世代だったため、怒りと危機感を持ったという。齋藤さんは「十分な訓練を受けていない一般人でも使える可動式刺股を作ろう」と2007(平成19)年に同商品を開発し、2012(平成24)年に改良版で国際特許を取得した。
製品の特徴は、一般的な防犯用刺股が相手の動きを力ずくで封じ込める目的に対し、同製品は巻き付きロック機構を備えており、ロック後は1人で解除できない仕組み。侵入者の体に固定された長いシャフトが行動を妨害し、自分たちが逃げる時間稼ぎをするための防犯用品だという。この機能について齋藤さんは「製品化のアイデアは、高校から始めたラグビー経験で、小柄な私でも大きな相手を止めることができたことから思いついた。ラグビータックルの動きを機能として形にした」と話す。
2020年、齋藤さんは栃木県主催の「ものづくりデザイン塾2020」を受講。専門家による商品開発の講義を受講した。その後2年間、さらなる商品改良など試行錯誤し、今年のグッドデザイン賞に応募したという。
17日に届いた同賞の賞状を見ながら齋藤さんは「本当にうれしかった。今後も金属加工の技術で新しい商品作りに取り組んでいきたい」と笑顔で話す。
1本3万3,000円。