足利で地域のICT支援を行うNPO法人「コムラボ」(足利市伊勢町)が学童施設向けの情報管理システムを開発し、足利学童保育連絡協議会加盟の9クラブが4月から利用を始めた。
2021年度、足利市から学童業務の効率化を図ることを目的とする「足利市放課後児童クラブICT化推進事業補助金」が1学童につき50万円交付された。今回、同会がコムラボに学童クラブの業務ICT化を依頼し、賛同した加盟の9クラブが補助金の一部を使うことでシステムを導入した。
同法人は2022年度からの運用に向け、2021年11月から2022年1月まで、学童職員を対象とした情報セキュリティー講座とシステム利用講座を行った。また、学童運営団体へ個別のシステムサポート導入を行い、ICTに詳しくない現場でも使えるように準備したという。システム導入により従来、市役所に提出する毎月の書類提出作業をクラウド化し、ペーパーレスが実現した。
システムへは職員のパソコン、タブレット、スマートフォンからアクセスでき、児童出席簿、職員出勤簿、保育日誌などを入力できる。これらはクラウドサービス「kintone(キントーン)」をベースにコムラボが独自開発したシステム。
これまで毎月の書類作成は、本来行うべき保育に影響を与えており、学童運営において業務の効率化は課題となっていた。システムの導入により、月で換算すると5、6時間ほど書類作成の時間が短縮されたという。
同会事務局長で富田・葉鹿学童クラブ(駒場町・葉鹿町)の支援員、川岸洋子さんは「書類提出業務の効率化が目的だったが、情報の共有の大事さに気付いたことは思わぬ副産物だった。日誌をデータ化することで全ての職員が児童の状況を把握できるようになった結果、職員の意識が上がり、保育の質が底上げされた」と話す。
さくらエルマー学童くらぶ(千歳町)の三田和子さんは「毎日記録することで、簡単に月末の提出書類ができるのでありがたい。職員が戸外に付き添う場面でも出欠の確認を手持ちのスマホででき、わざわざ戻って紙を確認する手間がなくなったのは大きい」と喜ぶ。
コムラボ代表理事の山田雅俊さんは「システムを使い続けてもらえるようにシンプルな開発を意識した。引き続きシステムの利用サポートを行い、地域のICT活用に貢献していきたい」と話す。