「利根川水系連合・総合水防演習」が足利市五十部町の渡良瀬川左岸で5月18日、開催された。
同演習は、1947(昭和22)年のカスリーン台風による被害を教訓として1952(昭和27)年から地域を守る水防団による水防技術の向上や技術継承、避難訓練により住民の防災意識を高めることを目的として行われている。今回で68回目。毎年、利根川が沿う栃木県、埼玉県、群馬県、茨城県、千葉県の5県による持ち回りで実施されている。栃木県では2014年の宇都宮市以来の開催で、足利市で行われるのは1979(昭和54)年以来40年ぶり。演習参加団体は足利市水防団をはじめとする31団体で、演習参加人数は計1011人。来場者を合わせると約16000人が河川敷に集まった。
開会式で演習総裁の国土交通省・工藤彰三大臣政務官は「今後共国民の生命、財産を守るため、河川整備を進めるとともに災害現場の第一線におられる水防活動に従事する皆さんと一層の連携強化に取り組んでいきたい」とあいさつ。副総裁の福田富一・栃木県知事は「栃木県で水防演習が開催されることが水防関係者はもちろん、県民にも水防活動の重要性や地域防災力の必要性を改めて認識していただける絶好の機会」と話した。
同じく副総裁の和泉聡・足利市長は「足利市街地中心部に架かる中橋の左岸、右岸にかかる堤防が周辺に比べて低く切れ込んでいることから大規模な災害が起こることが懸念されている。水防は市民一人一人が安全安心に暮らせる災害に強いまちづくりを進めていく上では決して欠かすことのできない重要なもの」と話した。
第1部の「水防訓練」では足利市水防団による水防工法の準備や漏水、洗掘、決壊および越水などの堤防の被災に対応する実働訓練を行った。第2部「救出・救護訓練」では増水により渡良瀬川の左岸堤防が決壊し、同市から広域に氾濫したという想定での訓練が実施された。目の前で被災者をボートやヘリコプターで救出する団員たちの訓練姿に来場した子どもからは「かっこいい」という歓声が上がった。
会場には地震などの自然災害を体験するコーナーや展示、炊き出しや同市の物産販売もあり多くの人でにぎわった。