
中庭を彩るライトアップとカクテルセットイメージ
鬼怒川の渓流に面した小高い丘の上に立つ温泉旅館「界 鬼怒川」では、2025年12月1日から2026年3月31日までの期間、廃棄される益子焼の陶片をアップサイクルし、幻想的な光のアートに生まれ変わるライトアップ「灯る器のものがたり」を今冬初めて開催します。期間中、本来は廃棄されてしまう益子焼の陶片を使ったライトが中庭を彩ります。館内では、益子焼の作家と直接交流ができる「冬の陶器市」や、益子焼の器を使って楽しむカクテルセットを提供します。廃棄される陶片をアップサイクルすることで伝統工芸の担い手を支え、益子焼の魅力に触れる滞在です。
背景
栃木県の「益子陶器市」は年間60万人が訪れる(*1)一方で、作家が作品のこだわりを使い手に直接伝える機会は限られています。また、制作過程では多くの陶器が廃棄されるという課題もあります。界 鬼怒川と取引のある窯元ではその量が年間約400kgにものぼり(*2)、処理コストが作家の大きな負担となっています。界 鬼怒川では、コロナ禍で益子陶器市が中止となった際に館内で「リモート陶器市」を開催した経験から、これら2つの課題をあらためて認識しました。そこで、廃棄される陶片を新たなアートとしてアップサイクルすることで伝統工芸の担い手を支え、同時に、作り手と使い手が直接交流できる場を創出したいと考え、窯元や作家と協同し、本企画の実現に至りました。
*1:益子町観光協会HP
*2:当社調べ。2024年1年間の概算
特徴1 廃棄される陶片が光のアートに

益子焼の陶片ライト(中央)
陶片ライトの点灯イメージ
冬の夜を彩る、益子焼の陶片を使ったライトアップが期間限定で中庭に登場します。これは、本来であれば廃棄されてしまうはずだった益子焼の陶片をアップサイクルし、光のオブジェとして甦らせたものです。今回のライトアップでは、年間で廃棄される約400kgの陶器のうち、その25%である約100kgの陶片を使用します。夜には、陶片の隙間から漏れる光が一つひとつ灯り、幻想的な影を生み出します。日中は釉薬の色とりどりの表情が庭に彩りを添え、昼夜で異なる趣を楽しむことができます。サステナブルな視点から生まれた、冬の夜の新たな風物詩です。
期間:2025年12月1日~2026年3月31日
特徴2 作家の思いに触れる冬の陶器市

陶器市イメージ
ご当地楽「益子焼ナイト」の様子
益子焼の魅力と出会える、冬限定の陶器市を館内で開催します。約10名の作家による個性豊かな作品を展示販売し、土日には作家本人も来館します。作り手から器の個性や楽しみ方を直接聞き、ゆっくりと語らいながら、お気に入りの一点を選ぶことができます。さらに界 鬼怒川の陶器市では、器を見て話を聞くだけではなく、滞在中に益子焼を実際に使用し、その質感や使い心地を試せる点も大きな特徴です。あわせて、毎日開催する「益子焼ナイト」ではスタッフが益子焼の歴史や技法を解説し、深い魅力を知ることができます。
期間:2026年1月24日~3月31日
備考:作家の直接販売は土・日・祝日限定です。
陶器市へ参加する作家紹介:大塚 一弘氏
プロフィール
1966年、栃木県益子町生まれ。東京で陶芸美術を学んだ後、栃木県窯業支援センター研究生を経て、父である大塚清章氏に師事。益子焼窯元「清窯」の二代目当主であり、伝統工芸士として益子焼の伝統の技術や作風を受け継ぎながら、デザイナーやフレンチのシェフとの協同での器作り、原土を用いたもの作りなど、新しい挑戦を続けています。国展をはじめ、様々な賞を受賞。
コメント
益子焼は江戸時代後期、1853年(嘉永6年)に始まりました。日用品の器を作ることから発展し、当初は水がめや壺、すり鉢といった「暮らしの道具」として親しまれてきました。昭和初期には柳宗悦や濱田庄司らの民藝運動により注目され、芸術性の高い工芸としても知られるようになりました。器はまず「使われる」ことで価値を持ちます。日々の食卓で料理を受け止め、花を飾り、暮らしに寄り添う存在であることが良いと考えています。益子焼は豪華絢爛な装飾は持ちませんが、その素朴さ、土そのものの温かさが、長く使うほどに愛着を感じていただければ幸いです。自然からいただいた土を形にし、暮らしの中に「心の豊かさ」をお届けしたいと精進しています。
特徴3 益子焼で提供するカクテルセット

益子焼のカクテルセット
中庭のライトアップを眺めながら楽しむ、冬限定のカクテルセットを提供します。栃木県産いちごのリキュールをはじめとする、数種類のオリジナルカクテルを用意します。おつまみは、地元野菜のピクルスや日光名物のゆばを中心とした内容で、器はすべて益子焼を使用しているため、器の口当たりや質感など益子焼の魅力を体感することができます。ライトアップされた中庭を眺めながら、静かな夜の時間を過ごせます。期間:2025年12月1日~2026年3月31日

