一般社団法人マジェルカ(本社:東京都武蔵野市 代表:藤本光浩)は、オーストラリア資本の寝具メーカーであるコアラスリープジャパン株式会社(本社:東京都渋谷区 代表:ダニエル・ミルハム 以下コアラ)と、栃木県で障害者の就労継続支援事業を営む有限会社コパン(本社:栃木県宇都宮市 代表:金井光一)を仲介し、コアラスリープの提供する120日間無料トライアルサービスで返品されるシーツ等のアップサイクルを行う「アップリネン」プロジェクトを主導した。
約1年に渡る試行錯誤の末、顧客より返品されたシーツ等が障害ある方々の手により生まれ変わり、環境問題・障害者のインクルージョンを問いかける新たなノベルティーが誕生した。このノベルティーは世界環境デーの6月5日より、コアラスリープショールームでの購入者100名にプレゼントされる。
■マジェルカとは
マジェルカは2011年の創業以来、日本全国の障害者施設のべ200以上と取引を行い、障害者が作る雑貨製品を東京吉祥寺の実店舗とオンラインショップで販売。今まで障害者と関りの無かった人々が、障害者や福祉の世界に興味をもつきっかけを提供している。また、新たな展開として、企業と障害者施設をつなぐコラボレーション事業の仲介も強化している。
マジェルカは、福祉の分野にフェアトレードの概念をとりいれる「ウェルフェアトレード」を提唱。こうした施設で作られる製品を「適正な価格」で市場にて流通させることを重視し、作り手の収入と働きがいの向上につなげている。
■コアラのサステナビリティへの取組み
コアラは、「Good for planet and people」をモットーに掲げ、地球と人々に優しい取り組みを大切にしている。
インターネットでの販売を得意とする同社では、顧客に対して「120日間の無料お試し」というサービスを提供している。返品されたリネン等は現在に至るまで一部を必要とする人々へ寄付されていたが、多くは再利用されず、燃料としてサーマルリサイクルされ、その量は年間約1トンにも達していた。同社はこれらを別の方法で活用できるアイデアを探っていた。
相談を受けたマジェルカは、単にシーツ等の生地を縫製して製品化するのではなく、障害者施設が得意とする「刺し子」「染め」「ペイント」「刺繍」などの技術を活かし、付加価値を加えた製品とすることを提案。「アップリネン」プロジェクトとしてエコバッグを製作することが決定した。
その後、全国の障害者施設に協力を呼びかけ、多数の施設が試作品の製作にチャレンジした結果、「染め」という付加価値を加えたコパンのバッグが採用された。
■製品化までのハードル
障害者施設では、施設の利用者に対する支援活動が最優先となるため、生産活動は二次的な位置づけとなる。試作・生産に時間を要することは、12年に渡り障害者施設と取引をしてきたマジェルカにとっては想定内であった。
しかし、製品化までには想定以上の時間がかかった。その理由は、既成の布を利用した製作とは異なり、一度使用されたシーツ等を製品にするまでには多くの工程が必要となるためだ。
また、肌触りよい上質なシーツの生地は、裁断・縫製の技術が必要とされ、今回のプロジェクトに関わったコパンの5名の利用者は試行錯誤を繰り返したという。
「今まで縫製の経験を積んできましたが、今まで扱ってきた綿素材と異なり今回の生地は滑りやすく、裁断も縫製もとても苦戦しました。待ち針を沢山使い、ゆっくりと縫うなどの工夫をしました。」
■障害ある作り手達のポジティブな変化
一筋縄ではいかない作業ではあったが、その分完成した時の喜びは大きかった。作り手達からは、「新たな経験ができたことが嬉しい」「沢山の方に、喜んでもらいたい」というコメントも寄せられた。
一方で、利用者も含め、施設全体で「環境」や「SDGs」への意識を高められたという。「廃棄されるはずのものから、お客様の手に渡る製品を生み出せた」「SDGsって何だろう、と改めて考える機会になった」「この取り組みに関われたことは素晴らしい経験だった思う」などの喜びの声も多数寄せられた。施設のスタッフ・利用者共に、今後の継続的な制作に対しても、非常に意欲的である。
■今後の展開
今回アップサイクルしたバッグ100点は、6月5日の世界環境デーより、コアラスリープショールームにて購入者100名にプレゼントされる予定である。
バッグに施された「染め」は一点ずつ風合いが異なり、世界に一つだけのオリジナリティが溢れる点が魅力の一つ。コアラの担当者からは、「コアラのリネンがこんな形でよみがえるとは思わなかった。想像以上のクオリティで驚いた。」など、大変ポジティブな感想が寄せられた。
私たちはこのノベルティーが「環境保護」「障害者の社会参加」を後押しするだけでなく、バッグを手に取る方もこうした社会課題を意識するきっかけとなることを願っている。
■廃棄する素材を使って新たな取組を
マジェルカでは当プロジェクト同様に、従来廃棄していた素材を活用する方法を探している企業や、障害者施設とのコラボレーションを検討している企業を募集している。