企画展「高山良策展 空想する闇と光」が8月21日、足利市立美術館(足利市通2)で始まった。
精緻に描かれた風景に存在しえないものが共存する独特な空想世界
同美術館によると、高山良策(1917-1982)は山梨県出身。14歳で上京し、製本店などの仕事に就く中で美術と出会う。20代で空想の世界などを克明に描くシュルレアリスム(超現実主義)に影響を受け、その手法を基に絵画や立体作品を制作した。戦後の復興期には、社会のゆがみや闇の部分を題材に取り上げた作品を制作し、晩年まで自由な空想の世界を表現し続けた。戦後は映画やテレビ番組の特殊美術に関わり、「怪獣制作者」として円谷プロダクションの作品に登場する怪獣の造形に携わったことでも知られる。
同展では、同館が所蔵する高山良策の作品700点から約280点を紹介。年代別の構成で制作初期の作品や中国戦線の中で兵士として過ごす中で描いたデッサンから独特な世界観を持つ戦後の作品、最晩年の絶筆までを展示し、高山の生涯を振り返る。絵画に関連する立体作品6点も展示するほか、日記や愛用の画材、仕事で携わった絵本や広告のデザイン、特撮関連のスケッチなども展示する。
同館学芸員の篠原誠司さんは、「『シュルレアリスム』に影響を受け描かれた『闇と光が交錯する』空想世界は独特で不思議。高山さんが生涯を懸け描き続けた『新しい世界』『新しい人』を見て、何かを感じてほしい」と話す。
開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。月曜(祝日の場合は翌日)と9月24日休館。観覧料は、一般=710円、高校・大学生=500円、中学生以下無料。10月10日まで。緊急事態宣言発令中のためギャラリートークなどの関連イベントを9月12日まで中止する。