足利市の回遊性を高めるための施策を企画・運営している「足利よりみちプロジェクト」が3月29日、「足利よりみちMAP」のお披露目会を開いた。
代表の梁川健人さんは足利市出身。東京都でカフェ経営に向けて修業した後、2018(平成30)年、足利へ移住し、「喫茶 八蔵(はちくら)」(家富町)を開店した。同じく足利へ移住した同世代のデザイナー、鶴見裕也さんと意気投合し、「足利をもっと活気ある街にしたい」という思いから2018(平成30)年5月1日、市民5人で同プロジェクトを設立した。
既存の足利観光マップは市外から来た人に向けたもので市民向けではないことや、観光協会の会員の店しか掲載されていないことから、「まずは何があるか知らないと市民が街を楽しめない。足利に暮らしている人向けのマップが欲しい」と仲間を募り、市民の視点でマップ制作するワークショップを開いた。
延べ30人が参加したワークショップでは、市民から「河北」と呼ばれ旧国道、市街地が位置する「まちなか」と「足利全域」の2種類の白地図に、参加者がそれぞれのテーマや発想でお薦めスポットを紹介した11種類の地図が選ばれた。11種類のマップと小冊子は、市内の飲食店や小売店などにランダムに配置する。観光案内所などで手に入る専用のクリアファイルに収集したり、気に入った地図に差し替えたりすることができる。
鶴見さんは「収集する楽しみが増すように、どんな地図がどこに設置されているのかは公表しない。収集でき、地図を差し替えて使えるのは実験的で、前例があまりないものでは。どのように活用してもらえるのか楽しみ。手に持った学生さんが街を歩いている姿を見ることができたらうれしい」と期待を込める。
「足利よりみちMAP」の地図と同じものを使った、足利大学(大前町)と同市の共同研究「巨大まちなか回遊MAP」を「たかうじ君広場」(通2)前に設置したことも発表。渡邉美樹教授は「足利は文化財だけでなく、昭和初期の古い建物が残る魅力ある街。市民がマップに自由に紹介したいスポットや、お薦め情報をマグネットなどで貼ってもらえたら」と話す。
梁川さんは「自分が見ている街と他人が見ている街は視点が違って面白い。何も書きこまれていない白地図も用意しているので、友人と見せ合ったり、SNSでシェアしたり、それぞれ百人百色の足利の魅力が詰まったマップを楽しんでほしい」とほほ笑む。
クリアファイル、マップ、小冊子の設置場所はホームページで確認できる。