足利市は10月20日、来年4月から水道料金を49.4%引き上げると発表した。
改定後の料金は、水道メーターの口径13ミリで1カ月20立方メートル使用の場合、現行の2,060円から3,070円となる。市内世帯の約6割が該当するという。月10立方メートル使用では850円から1,270円に上がる。
同市の水道事業は1931(昭和6)年に給水を開始し、水道普及率は97.8%、水道管は1024キロが敷設されている。料金は1996(平成8)年度から変更がなく、現在栃木県内で最も安い水準。給水人口は2001(平成13)年度をピークに減少が続き、料金収入は1997(平成9)年度の26億2,000万円から2024年度には19億2,000万円まで落ち込んだ。
2024年度は水道設備の動力費や修繕費の高騰により、1980(昭和55)年以来44年ぶりの純損失5,143万円を計上した。現行の水道料金のままでは2029年度には水道事業に必要な資金が枯渇する見込み。設備の老朽化により、年間700件以上の修繕工事が行われ、年々増加しているという。配水した水のうち料金徴収できた割合を示す有収率は、2024年度が69.1%で、近隣他市の佐野市78.2%、群馬県桐生市の78.9%と比べ低く、漏水による収入減も課題となっている。
今年6月、市の上下水道事業審議会は「経営基盤の強化と水道水の安定供給のため、改定率64%(資産維持率3%)を限度に水道料金の引き上げが必要」と答申した。早川尚秀市長は「市民生活や事業者への影響を考慮し、改定率は49.4%(同2%)とした。この料金改定により経営を改善することで100年続く大切な水道資産を次の世代に引き継いでいきたい」と話す。
水道加入料金は新旧需要者間の公正を図るため同率の49.4%引き上げる。下水道料金は改定しない。今後の水道料金改定は、2026年度を基準に5年ごとに必要性を検討するという。新料金は2026年6月の検針分から適用予定。